みなさん、こんにちは
つい先日錬金術についての記事を書いたところ、本日ホットなニュースが流れてきました。
水銀から金を作るという方法です!
水銀から金を作る方法とされていたのは、「アマルガム法」と、核融合技術による「核融合錬金術」の2つがあります。
アマルガム法とは
熱して水銀を気化させて金を抽出する方法です。なので、他の物質から金を作り出すというより、金の純度を挙げて抽出する方法といった方がいいかもしれませんね。
特徴
- 簡単な操作: 特別な装置や高温を必要とせず、水銀と鉱石を混ぜるだけで貴金属を回収できます。この簡便さから、古代から金や銀の採掘に広く用いられてきました。
- 低品位の鉱石に対応: 金の含有量が少ない鉱石でも、効率的に金を取り出すことができます。
回収プロセス
- アマルガム化: 砕いた鉱石を水銀と混ぜ合わせます。このとき、金や銀は水銀に溶け込み、アマルガムを形成します。
- 分離: アマルガム(水銀と金の合金)は鉱石よりも重いため、遠心分離や手作業で鉱石と分離します。
- 精製: アマルガムを加熱し、水銀を蒸発させます。水銀が気体となって飛んでいくことで、金だけが残ります。この精製プロセスでは、水銀の蒸気が発生するため、適切な換気と安全管理が必要です。
用途と問題点
アマルガム法は、紀元前から金や銀の採掘に用いられてきましたが、現在ではほとんど使われていません。その最大の理由は、水銀の毒性にあります。
- 環境汚染: 水銀蒸気は神経系に影響を与えるため、精製過程で排出される蒸気が人体に有害です。また、使用後の水銀が河川や土壌に流出すると、生態系を汚染し、食物連鎖を通じて人体にも害を及ぼす可能性があります。
- 違法な使用: 現在でも一部の発展途上国では、小規模な金採掘で違法に使用されており、深刻な環境問題と健康被害を引き起こしています。
そのため、現在ではより安全で効率的なシアン化法などが主流となっています。
一方、核融合錬金術は、核融合炉で水銀の原子核に中性子を照射し、水銀の同位体を経て最終的に安定な金の同位体へと変化させる方法で、近年、その技術開発と実証に関する研究が発表されています。
核融合錬金術とは
「核融合錬金術」は厳密な科学用語ではありませんが、核融合のプロセスを利用して原子核を変換する(錬金術を行う)という、現代科学の最先端にある概念です。古代の錬金術師が目指した「鉛から金」ではなく、主に放射性廃棄物の無害化を目的として研究されています。
特徴
- 核変換の原理: 従来の化学反応とは異なり、原子核そのものを変化させます。核融合炉で発生する非常に高速で大量の中性子を、放射性廃棄物の原子核に衝突させます。これにより、不安定な原子核の構造を変え、半減期が短い、あるいは安定した原子核へと変換します。
- クリーンなエネルギー源との両立: 核融合は、二酸化炭素を排出せず、原理的に重大な事故の危険性が低い、究極のクリーンエネルギー源として期待されています。核融合錬金術は、この核融合炉が稼働する過程で副次的に行うことができるため、発電と放射性廃棄物処理を同時に実現する可能性があります。
用途
- 放射性廃棄物の無害化: 原子力発電所から出る使用済み核燃料には、半減期が数万年以上にもなるプルトニウムやマイナーアクチノイドなどの放射性物質が含まれています。これらを安全に処分するには、長期的な厳重管理が必要になります。 核融合錬金術では、これらの原子核を中性子で撃つことで、半減期を数百年程度にまで短くすることができます。これにより、放射性廃棄物の最終処分にかかる時間とコストを大幅に削減できると期待されています。
- その他: 将来的には、医療や工業で利用される希少な放射性同位体を、安価な元素から合成する応用も考えられています。しかし、現在の主な研究目的は、あくまで放射性廃棄物の処理にあります。
問題・課題
- 技術的な難しさ: 核融合発電自体がまだ実用化されていません。超高温・超高圧のプラズマを安定的に閉じ込める技術は依然として最大の課題です。核融合錬金術を実現するには、この核融合炉そのものが完成することが前提となります。
- 材料の耐久性: 核融合炉から発生する高エネルギーの中性子は、炉壁や内部の機器を激しく劣化させます。放射性廃棄物を処理するためには、これらの厳しい環境に耐えうる素材を開発する必要があります。
- エネルギー効率と経済性: 核融合炉の運転には、プラズマを維持するために莫大なエネルギーが必要です。放射性廃棄物というターゲット物質を炉内に置くことで、炉のエネルギー効率が低下する可能性があります。また、現在の技術では、放射性廃棄物の処分コストと比べて、この方法が経済的に見合うかどうかは不明です。
このように、核融合錬金術は非常に魅力的な概念ですが、実現には核融合科学そのものの進歩が不可欠であり、多岐にわたる課題の解決が求められています。ちなみに、今回ニュースで取り上げられていたのは、水銀の同位体を金の同位体(どちらも197)に変化させる方法。出来た時点では放射性物質であること。放射線リスクが安全なレベルになるまでの期間は14年~18年かかるのだそうです。ちょっと私のイメージしている錬金術とは若干違いますが、技術もここまで来たか!って感じだったので、記事にしてみました。
この記事を書くに当たって、水銀から金を生成したニュースを検索してみましたら、早速記事を書かれている方がいらっしゃったので、こちらもご紹介します。

noteの記事のようですが、わかりやすかったし、私とは違った視点からの記事となっています。
最後に、私もnoteを始めました。まだ自己紹介的な記事がメインです。少しだけスキを貰えるとちょっと嬉しいものですね。

Xもぎじゅつ部の部長というより、個人的な内容です。
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最後までご覧いただきありがとうございました。

