石鹸とけん化

ハンドメイド

石鹸の基本は、と水酸化ナトリウムを混ぜ合わせることで起こる「けん化」という化学反応です。今回はハンドメイド石鹸を作ってみようという方から趣味として既に作っている人にも参考になりそうな内容を化学的な側面から紹介します。


1. 手作り石鹸の基本:けん化の仕組み

手作り石鹸は、「けん化」と呼ばれる化学反応を利用して作られます。これは、油(脂肪酸)とアルカリ(苛性ソーダ)を混ぜ合わせることで、石鹸とグリセリンに分解されるプロセスです。

市販の石鹸はグリセリンが取り除かれることが多いですが、手作り石鹸にはこの天然の保湿成分がそのまま残るため、肌に優しく、しっとりとした洗い上がりが特徴です。

手作り石鹸と「けん化」の仕組み

手作り石鹸の基本は、と水酸化ナトリウムを混ぜ合わせることで起こる「けん化」という化学反応です。これは、油(脂肪酸)がアルカリ(苛性ソーダ)と反応し、石鹸グリセリンに分解されるプロセスです。


グリセリンの役割

けん化の副産物として生成されるグリセリンは、肌の水分を保つ「保湿成分」として知られています。市販の石鹸は、製造過程でこのグリセリンを取り除いてしまうことが多いのですが、手作り石鹸にはこのグリセリンがそのまま残るため、肌にやさしく、しっとりとした洗い上がりが特徴となります。

2. 手作り石鹸のメリット

  • 高い保湿性: グリセリンがそのまま残ることで、肌のうるおいを保ちます。
  • 肌への優しさ: 自分の肌質に合わせて材料を選べるため、肌荒れのリスクを減らせます。
  • 環境への配慮: 天然素材を使い、環境負荷を抑えられます。

私もかなり昔のことですが、手作り石鹸を作っていました。自分で作る石鹸なので、安心で、洗った後のしっとり感は感動します。ただし、水酸化ナトリウムの取り扱いは十分に注意してほしいです。水酸化ナトリウムについては別の記事にしていますので、参考にしてください。

オリーブオイル石鹸と酸化

手作り石鹸といえば、オリーブオイルにパームオイルやナッツ系のオイルをブレンドして作ることが多いですよね。手作り石鹸レシピも売っていますよね。オリーブオイルを主原料にする場合、けん化率を90%前後に設定するのが一般的です。これは、意図的に油分を少し残す「スーパーファット」という手法で、より保湿力の高い石鹸が作れます。

なぜ100%ではないのか?

けん化率100%で計算すると、理論上はすべての油が石鹸になりますが、以下のような問題が起こる可能性があります。

  • 水酸化ナトリウムが残る: わずかに計量がずれるだけで、けん化反応に使われなかった苛性ソーダが石鹸内に残り、肌を刺激する可能性があります。
  • 乾燥した洗い上がり: 油分が完全に石鹸に変わるため、肌のうるおいを保つ成分が減り、洗い上がりがつっぱると感じることがあります。

3. スーパーファットの重要性

けん化率を90%前後にすることで、石鹸内に未反応の油分(スーパーファット)が残り、それが天然の保湿成分として働きます。これにより、しっとりとした洗い上がりを実現し、肌への刺激を抑えることができます。

90%のけん化率がもたらす効果

  • 油分が残る: けん化率90%とは、石鹸にするために必要な苛性ソーダの量を意図的に10%減らすことを意味します。これにより、最終的な石鹸の中にけん化されなかった油分が約10%残ります。
  • 保湿効果: 残った油分は、天然の保湿成分であるグリセリンと合わせて、肌のうるおいを保ちます。このため、洗い上がりがつっぱらず、しっとりとした感触になります。
  • 肌への刺激を軽減: 苛性ソーダを使い切るリスクを避けることで、アルカリが肌を刺激する可能性が低くなります。

ただし、けん化率が低すぎると、石鹸がべたついたり、品質が安定しなかったりするため、90%前後が推奨されています。もう1つの理由は、オリーブオイルは酸化しやすい不飽和脂肪酸を多く含むため、時間とともに嫌な臭い(酸化臭)を発生させることがあります。酸化は、光、熱、湿気、酸素によって促進されます。

オリーブオイルを主原料とする石鹸は、製造から半年から1年ほどで酸化が始まることが多いです。ただし、この期間は保管環境によって大きく変動します。

酸化を早める要因

  • 高温: 高温の環境では、化学反応が促進され、酸化が早く進みます。
  • : 特に紫外線は酸化を促進します。
  • 湿度: 高温多湿の環境では、カビが発生しやすくなるだけでなく酸化も進みやすくなります。
  • 酸素: 空気中の酸素に触れる面積が大きいほど、酸化は早く進みます。

酸化が起こりにくい保管方法

酸化をできるだけ遅らせるには、以下の点に注意して保管することが重要です。

  • 冷暗所で保管: 直射日光が当たらず、涼しい場所を選びましょう。
  • 通気性の良い場所: 密閉容器ではなく、紙袋や木箱など、通気性の良いものに入れると良いでしょう。
  • 早めに使い切る: 酸化しやすい油を使っている場合は、製造から1年以内を目安に使い切るのが理想的です。

適切な保管をすれば、石鹸の品質を長く保つことができます。

石鹸を長持ちさせるためには、冷暗所で通気性の良い場所に保管し、半年から1年を目安に使い切るのがおすすめです。※ただし、熟成も大事なので、消費量を考えて(余りそうだったら熟成後にプレゼントすると案外喜ばれます)作るのがおススメです。

いかがでしたか?レシピのアレンジ等にもこの知識が参考になればうれしいです!

タイトルとURLをコピーしました